妄想日記2

だいたい妄想です

インドカレー屋を経営するパキスタン人

 

とある講演会にて

 

ちょっと怪しい雰囲気のスーツの人

「インドの代表的な香辛料と言えばカレーでしょう。ここに異論を唱える人はいません。」

「インドとパキスタンが対立している事を知っている人はいますでしょうか?」

 

「この両国は以前、同じ国でした」

「ですが、とある政治的事情により対立が起きました」

「今も、両政府は緊張状態です」

 

 

某所

パキスタン人「いらっしゃませえ〜」

 

ここに有名なインドカレー屋があります。

国内有数のビジネス街。彼らはまさしく、この国を動かしていると自覚しており、

そしてそれは事実でしょうか。

彼らのランチ代はゆうに1,500円、いや会社の経費をこれでもかと使い、

一般庶民には理解のできないスピードでお金の消費をしていきます。

 

そんな土地に、一つのインドカレー屋が細々と経営を続けていました。

 

彼はパキスタン出身。

 

一攫千金を夢見て、異国の地にて異国の料理を振る舞い、

そして一攫千金を手にしました。

 

今ではパキスタンの一等地の山奥に、城のような豪邸を建てました。

 

そんな彼も、今年で42歳。

インド人の女性と我が国で出会い、結婚。子宝にも恵まれた。

 

そんな彼は、成功した今でもインドカレーを作り続ける。

 

インドとパキスタンの政治情勢から、気まずくないのかと、私は彼に問う。

 

彼はこう答えた。

 

パキスタン

「今はそんなの関係ないね。確かに、移住後インドカレー屋を始めたばかりの時は、複雑な気持ちだった」

「個人的にも、子供時からインドは嫌いだったからね」

「でも、この国の人たちはインドカレーが好きなんだ。実は最初、パキスタン料理屋を開いた」

 

私「(そうだったのか)でも、いつからインドカレー屋に転身を?」

 

パキスタン

「ちょうどその頃、インド人の友達が出来たんだ。彼はパキスタンに対して偏見なんてなかった。

彼は、インド人であるが故に、この国で差別にあったりして苦労していたようだ」

「後で彼に聞いたんだが、彼は昔パキスタンが嫌いだったらしい」

「でも、異国の地での生活を通して、自分がインド人だからという理由で嫌われることを初めて体験したそうだ」

「国籍や外見での差別は許されることではなく、それは表面上は理解していた。ただ、実際に国籍差別をされることで、

やはり許されることではないと実感したようで、それからはパキスタン人だろうが何人だろうが、政府は関係ない。

本人がどういう人間なのかを見れるようになったと」

「そんなタイミングで俺と出会って、パキスタン人という偏見を持たずに接してくれていた」

「俺はそんなインド人と出会ったのは初めてだったから、最初は警戒したが、段々とそんな彼と仲良くなった」

「彼はインドカレー屋を経営していて、繁盛していた。どうやらインドカレーは大体なんでも繁盛できるらしい」

「インドへの偏見も、ビジネスへのプライドも全て捨てた俺は、パキスタン料理店をたたみ、インド料理を始めた。」

「そこにプライドはなかった。繁盛した。そして、俺はインドのことが好きになった。政府は、正直微妙だけどな」

 

「でも、いい仲間に巡り会えて、大好きな嫁にも出会えた。もっとインドとパキスタン政府同士も仲良くやってくれればなって、思うよ」

 

私「今でもパキスタン料理屋を始めたいと思う?」

 

パキスタン人「稼いだお金で、既に始めているよ。自分の国でね。ここじゃ儲からないが、地元だったら客はいくらでもいる。」

 

敵か、味方か

ビジネスか、プライドか

平和とは

 

区別されている向こう側の人間と、仲良くなれることの素晴らしさ