隣の芝は赤い
隣の芝は青いという言葉がある。
周りにいる人たちや、環境のいいところばかりが目について、嫉妬してしまう奴だ。
実際は、彼らも苦労をしているんだけど、外からじゃ見えないからね。
自分の状況よりもよく見えてしまう。
そんな中、俺の周りには真っ赤に燃えている芝があった。
どう考えても、誰がみても大炎上中。
隣の芝は赤かった。
とてもじゃないけど、幸せそうには見えない家庭だった。
子供は二人いて、両親はいるんだけど、
お父さんは失業しているのか、平日もいつも近所をフラフラしている。
奥さんも、パートをしているのか、平日週末問わず、朝早くから遅くまで外出していた。
子供たちもやはりというか、服はお下がりのような正直綺麗とは言えない服をいつも着ていた。
おうちも古びていて、築50年は有に立っているのではないかという、近所では貫禄さえある家だった。
お兄ちゃんが勉強の合間にいつも妹の世話をしながら、ドラマさながらの貧乏家庭だった。
たまに家から叫び声のようなものが聞こえるが、所詮他人の家なのであまり入り込まないようにしていた。
近所付き合いもないわけではないが、近隣の人たちともそこまで仲良くはしていないようだった。
ただ、それでも子供たちは全く不幸そうではなく、いつも笑顔で元気に挨拶をしてくれるいい子たちだった。
一体、彼らはどんな家庭なんだろう。
両親は仕事はどうしているんだろう。
子供たちは、そんな自分の両親をどう思っているんだろう。
失礼ながら、俺が気にするようなことではない。
けれど、気になってしまう、そんな不思議な家庭だった。